【種牡馬|種付料】社台スタリオンステーション繋養馬2024《私見含む》
社台スタリオンステーション。そこは“日本一の種牡馬繋養牧場”と言っても過言ではないと考えています。
そんな社台スタリオンステーションで繋養されている種牡馬と、その種付料を見ていきたいと思います。
社台スタリオンステーション、2024年繋養種牡馬と種付料
社台スタリオンステーション(社台SS)で繋養されている種牡馬の2024年種付料は以下のとおりになります。
・種牡馬名…金額(※単位は万円)
※金額の後ろに(★)があるのは新種牡馬。
(▲)があるのは今季から別牧場で繋養。
- アドマイヤマーズ …250
- イクイノックス …2000(★)
- イスラボニータ …200
- エピファネイア …1500
- エフフォーリア …400
- オルフェーヴル …350
- キズナ …1200
- キタサンブラック …2000
- クリソベリル …300
- グレナディアガーズ…150(★)
- コントレイル …1500
- サトノクラウン …200
- サトノダイヤモンド…150(▲)
- サリオス …200
- サートゥルナーリア…800
- シスキン …200
- シュネルマイスター…350(★)
- スワーヴリチャード…1500
- ダノンキングリー …150
- ドレフォン …600
- ナダル …300
- ニューイヤーズデイ…200
- ハービンジャー …private
- ブリックスアンドモルタル…600
- ポエティックフレア …private
- ホットロットチャーリー…150
- マインドユアビスケッツ…300
- ミッキーアイル …150(▲)
- モーリス …800
- リアルスティール …300(▲)
- ルヴァンスレーヴ …300
- ルーラーシップ …350
- レイデオロ …500
- ロードカナロア …1200
※種付料の支払条件は受胎確認後で、フリーリターン特約が付帯されています。
社台SS、種付料トップ10の比較
◆種付料、去年のTOP10◆
- エピファネイア …1800
- キズナ …1200
- コントレイル …1200
- ロードカナロア …1200
- キタサンブラック …1000
- サートゥルナーリア…800
- モーリス …700
- ドレフォン …700
- レイデオロ …700
- ブリックスアンドモルタル…600
牝馬三冠・デアリングタクトや年度代表馬・エフフォーリアを輩出したエピファネイアが単独トップの1800万円でした。それを追いかけるようにキズナ、ロードカナロア、そして新種牡馬のコントレイルの3頭が1200万円で2位タイで並んでいました。
この年は、コントレイルの初年度種付料が1200万円だったこと、イクイノックスの活躍によりキタサンブラックの種付料が500万円から2倍・1000万円に跳ね上がったことが印象的でした。
◆種付料、今年のTOP10◆
- キタサンブラック …2000
- イクイノックス …2000
- エピファネイア …1500
- コントレイル …1500
- スワーヴリチャード…1500
- キズナ …1200
- ロードカナロア …1200
- サートゥルナーリア…800
- モーリス …600
- ドレフォン …600
- ブリックスアンドモルタル…600
キタサンブラック、イクイノックスの“2000万円親子”を追従するように、エピファネイア、コントレイル、スワーヴリチャードの3頭が“1500万円トリオ”を結成した様に見えます。
爆発力を期待できる“2000万円親子”と、種牡馬期待値が高い“1500万円トリオ”の5頭のあとには、キズナ、ロードカナロアという種牡馬実績十分の2頭が“1200万コンビ”として存在感を示しています。
さらにその7頭の後には、初年度産駒がデビュー直前のサートゥルナーリアが800万円おり、パワー型の種牡馬モーリス、ドレフォン、ブリックスアンドモルタルの“600万パワーズ”がいます。
種付料を見て、私の感想
今年、一番注目を集めているのがキタサンブラック、イクイノックス親子であることは間違いありません。
【キタサンブラック】
キタサンブラックの今季種付料は、昨年比2倍の2000万になり、イクイノックスは初年度から2000万円に設定されています。
キタサンブラックは、初年度産駒のイクイノックスが大活躍し、第二世代目ではソールオリエンスが皐月賞を制しています。
一昨年の500万円から1000万円なり、今季は2000万円。
2023年JRAリーディングサイアー総合では6位で、今一番勢いのある種牡馬と言えると思います。
【イクイノックス】
そんなキタサンブラックを父に持つイクイノックスの初年度種付料が2000万円に設定されたことには驚きました。
イクイノックスの初年度種付料は1200万円前後と想定していましたが、いきなりの現役種牡馬トップタイの種付料になるとは……。想定以上でした。
父ブラックタイド・母の父サクラバクシンオーだったキタサンブラックが父で、母の父はキングヘイローのイクイノックス。
3代前父がサンデーサイレンス、3代前母の父母はグッバイヘイローであり、この2頭はアメリカの名馬です。そして3代前の母の父父がダンシングブレーヴ、同母の母父がトニービンといった凱旋門賞馬の血が入っているのが魅力的です。
イクイノックスの血統は「日本近代競馬の進化の歴史が詰まっている」と考えています。
【エピファネイア】
エピファネイアが300万円下がって1500万円。同上リーディングサイアー総合9位。
デアリングタクトやエフフォーリアを輩出した頃のような勢いはありませんが、サンデーサイレンスが母の父父なので、ディープインパクトやハーツクライ産駒の牝馬と配合できる点がエピファネイアの魅力と考えています。
実際にデアリングタクトもエフフォーリアの血統も「サンデーサイレンスの4×3」です。
同上リーディングサイアー2歳では2位。2歳から活躍できるのがエピファネイア産駒の特徴です。
【コントレイル】
コントレイルは300万円上がって1500万円になりました。
「社台SSは、コントレイルをディープインパクトの後継種牡馬にしたい」という思惑が強いのだと考えています。
しかしタイミングが悪く、ディープインパクト後継種牡馬問題が決着していないうちに、ハーツクライ産駒のスワーヴリチャードの大活躍があり、現在は「サンデーサイレンス系×ミスタープロスペクター系の後継種牡馬問題」に突入してしまったように見えます。
【スワーヴリチャード】
初年度からホープフルステークス勝ちの牝馬・レガレイラを送り出したスワーヴリチャードの種付料が、それまでの200万円から7.5倍の1500万円に跳ね上がりました。
サンデーサイレンス系×ミスタープロスペクター系という血統はコントレイルと被ります。
コントレイル、スワーヴリチャード両馬とも母の父がアンブライドルズソングです。ディープインパクトを父に持つのがコントレイル、ハーツクライを父に持つのがスワーヴリチャードという風に区別することができます。
コントレイルの種付料が据え置きの1200万円で、スワーヴリチャードの種付料が200万円のままだと、コントレイルの血の代わりに割安なスワーヴリチャードの血を求める人が増えるのは当然のことだと思います。
その上、これからのスワーヴリチャードには上質な繁殖牝馬が集まってくることになることも十分考えられます。
そこで社台SSは、コントレイルとスワーヴリチャードの種付料を同額にした上で、生産者に対して「ディープインパクトとハーツクライ、どっちの血が欲しい?」という選択をさせていくのかな、と考えています。
【ロードカナロア】
【キズナ】
ロードカナロアとキズナに関しては、種牡馬実績を考慮すると種付料は妥当だと考えています。
同上リーディングサイアー総合ではロードカナロアは2位、キズナは4位でした。ちなみに1位はドゥラメンテ、3位はディープインパクトです。
同上ダートリーディングサイアーランキングでは、ロードカナロアとキズナは、ヘニーヒューズ、ドレフォン、シスターミニスターに次ぐ4位と5位でした。
さらに同上リーディングサイアー2歳ではキズナは1位、ロードカナロアは6位でした。
芝馬だけでなくダート馬も輩出しているので、芝で走らなければダートで走らせる、ということができます。
コントレイルとスワーヴリチャードの種付料が、ロードカナロアとキズナよりも300万円高くなりました。そのため「実績十分のキズナが、コントレイルやスワーヴリチャードよりも安いんですよ」「サンデーサイレンス系の牝馬にはロードカナロアはいかがですか?」というアピールがしやすくなりました。
【モーリス】
【ドレフォン】
【ブリックスアンドモルタル】
モーリス、ドレフォン、ブリックスアンドモルタル産駒は芝もダートも走れるパワー型のイメージが強いです。
成長力が早く、上記リーディングサイアー2歳ではモーリスが4位、ドレフォンが5位、ブリックスアンドモルタルは9位でした。
「成長が早く、パワー・ダート型のサラブレッドを生産したいのなら、この“600万パワーズ”はいかかがですか?」というパッケージになっているのかな、と感じました。
日本人の平均年収より高い、社台SS種牡馬トップ層の種付料
「自分の年収が、どの種牡馬の種付料と同じなのか?」という視点で見てみるのも面白いかもしれません。
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」では、日本人の平均年収は458万円となっています。
社台SSの種付料トップ10の中で一番安いのが“600万パワーズ”の種付料。平均的な日本人では社台の種牡馬トップ10の血を買うことができませんね。
ちなみに、年収600万円未満の人は全体の77.3%で、年収600万円以上ある人は全体の22.6%でした。
モーリス、ドレフォン、ブリックスアンドモルタルの種付料より年収が高い人は、全体の約2割です。
人間どこで何があるか分かりません。チャンスが巡ってきた時に、それをものにできるように心身の健康を保つように心がけましょう。
人も種牡馬も健康第一です。
社台SSから退厩した種牡馬たち
イクイノックス、シュネルマイスター、グレナディアガーズが社台SSで繋養されることになりましたが、逆に社台SSから退厩した種牡馬たちもいます。
それが以下の3頭です。
・サトノダイヤモンド
社台SS→ブリーダーズ・スタリオン・ステーション
・リアルスティール
社台SS→ブリーダーズ・スタリオン・ステーション
・ミッキーアイル
社台SS→優駿スタリオンステーション
サトノダイヤモンドからは、京都新聞杯と神戸新聞杯(ともにGⅡ)を勝利したサトノグランツが誕生しましたが、重賞勝ち馬はこの一頭のみです。やはりディープインパクトを父に持つ牝馬と交配できないのは痛いですね。
リアルスティールからはオールパルフェ、レーベンスティールそしてフォーエバーヤングといった重賞勝ち馬が誕生していますが、こちらもサトノダイヤモンド同様、ディープインパクトを父に持つ牝馬と交配できないのが痛いですね。
ミッキーアイルからはメイケイエールなどマイル以下を得意とする重賞勝ち馬が誕生していますが、ミッキーアイルの父もディープインパクトなので、ディープインパクトを父に持つ牝馬とは交配できません。
上記の3頭は社台SSから退厩となっただけで、種牡馬登録を抹消されたわけではありません。
社台SSからほかの種牡馬繋養牧場に移動ととなると、「社台追放」「都落ち」などと言われることもありますが、新たな環境で一頭でも多くの活躍馬を輩出してほしいと思います。
今回紹介したのは、社台SSで繋養されている種牡馬だけです。ほかにも種牡馬繋養牧場はありますので、今後も記事を残していきたいと思います。応援よろしくお願いします。
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